はじめに
AIを導入して業務効率を上げたいけれど、何から始めればいいのか分からないですよね。
そんなAI活用による時短の悩みも、一瞬で解決できる方法があります。
今回は、AIを使って「月10時間以上」の業務削減を実現した導入事例をもとに、成果の出るAI活用法をご紹介します。
■ 時間削減の鍵は“業務の見える化”とAIの最適配置

● 業務の棚卸しがAI導入成功の第一歩
AIで業務を時短するための最初のステップは、「業務の棚卸し」です。
どの業務が時間を多く取っているのか、属人的になっていないか、繰り返し作業が発生していないかを徹底的に洗い出します。
例えば、日報作成や報告書のドラフト作成、請求書処理などは、ほとんどの業界で時間がかかっている業務です。
これらの業務をリストアップし、工数や頻度、難易度といった軸で分類・評価することで、「AI化するべき業務」が明確になります。
ここを曖昧にすると、AIツールを導入しても使われない、期待通りの効果が出ないといった失敗につながります。
● ルーチン業務こそAI化のチャンス
ルーチン業務、つまり毎日・毎週繰り返し行われる作業こそ、AIが最も得意とする分野です。
例えば、定型文の文書作成には生成AI、データ入力にはRPA、紙ベースの書類の読み取りにはAI-OCRなど、それぞれ適したAIツールがあります。
手間がかかっていた業務の負担が一気に軽くなるだけでなく、人的ミスの削減やスピードアップも同時に実現できます。
実際、ある小売企業では紙の請求書処理をAI-OCRとRPAで自動化した結果、年間で7,000時間もの業務時間削減に成功しています。
● 業務ごとに異なる「最適なAIツール」の見極め方
AIツールと一口に言っても、用途に応じて最適な種類は異なります。
文章作成支援にはChatGPTなどの生成AI、ソースコードの補完にはGitHub Copilot、スケジュール調整にはAIスケジューラーなど、適材適所の判断が必要です。
導入前に重要なのは、目的とする成果に直結するツールを選定すること。
「作業時間の短縮」なのか「業務の質向上」なのか、ゴールを明確に設定しておくことで、最適なAI選定と導入の成功確率が大きく高まります。
🔍 業界用語の解説
- 業務の棚卸し:現行業務をすべて洗い出し、内容・工数・課題点などを整理する作業。
- RPA(Robotic Process Automation):人間の定型作業を自動化するソフトウェア技術。
- AI-OCR:AI技術を活用した文字認識で、手書きや印刷文書をデジタル化する技術。
- 生成AI:人の指示に従って文章や画像などを生成するAI(例:ChatGPTなど)。
■ 業界別・AI活用による時短成功事例まとめ

● 金融業界:ChatGPTによる文書草案自動化
三菱UFJ銀行では、社内文書の草案作成に生成AI「ChatGPT」を導入しています。
具体的には、稟議書や報告書などの草案をAIが自動生成し、担当者はそれを確認・修正するだけで済むようになりました。
この導入により、月あたり22万時間の業務削減効果が見込まれており、人的コストの大幅削減に直結しています。
AIがベースとなるドラフトを作成することで、判断や確認といった人間にしかできない仕事へ集中できる環境が整いました。
● IT業界:Copilotが変えたエンジニアの働き方
LINEでは、GitHub Copilotを活用し、プログラミング作業を自動補完しています。
Copilotはソースコードの文脈を理解し、次の行を提案してくれるため、エンジニアの生産性が格段に向上。
結果として、1日あたり約2時間、月間で40時間相当の作業時間が削減されました。
この時短により、バグ修正やコードレビューなど、より価値の高い業務へと時間を振り向けることができています。
● 医療・福祉業界:シフト編成の自動化による労働負担の軽減
名古屋大学発のスタートアップが開発したAIスケジューラーは、障害者支援施設におけるシフト編成を劇的に効率化しました。
従来、手作業で8時間かかっていたシフト作成が、わずか2時間に短縮。
希望休や条件を自動で考慮することで、人手不足の現場でも無理のない配置が実現されました。
担当者の精神的・時間的負担が軽減され、離職率の改善にもつながっています。
● 製造・教育・小売・バックオフィスでのAI活用例も紹介
製造業では、住友化学が社内AI「ChatSCC」を活用し、文献要約や発想支援で研究業務を効率化。
教育現場では、さいたま市の教員が生成AIで通知表コメント作成を支援し、生徒との向き合い時間を確保。
小売業のセブン-イレブンは、新商品企画をAIで高速化。
バックオフィスではロフトがRPAとAI-OCRを組み合わせ、紙の請求書処理を自動化し、年間7,000時間を削減しました。
どの業界にも共通するのは、繰り返し作業や定型業務をAIに任せることで、人はより創造的な仕事に集中できるようになっている点です。
🔍 業界用語の解説
- GitHub Copilot:AIによるコード補完ツール。開発者の記述をリアルタイムで補助する。
- AIスケジューラー:AIがシフトや予定を自動で作成・調整するシステム。
- ChatSCC:住友化学が独自に開発した社内生成AIツール。
■ 小さく始めて大きな効果!AI導入のステップと注意点

● パイロット導入から全社展開へ
AI活用の成功企業が共通して行っているのが、いきなり全社導入するのではなく、「スモールスタート」を取る戦略です。
まずは一部の業務、もしくは1部門からAIツールを導入し、効果を定量的に検証します。
この段階で得られた成果や課題をもとに、導入範囲を段階的に広げていくのが理想的な流れです。
初期フェーズでの小さな成功が社内の信頼を得るきっかけとなり、導入に対する心理的ハードルも下がります。
● 社員のAIリテラシー向上もカギ
どれだけ高性能なAIツールを導入しても、それを使いこなす“人”のスキルが伴っていなければ、本当の効果は出ません。
AIツールの基本操作や、活用場面に応じた使い方を学ぶ研修やワークショップの実施は、導入初期に欠かせません。
また、社内で成功事例をシェアし、積極的な活用文化を醸成することも重要です。
「AIは難しい」という固定観念を打ち破ることが、成果を最大化する鍵になります。
● 期待しすぎない。段階的な導入で成功率アップ
AIに過度な期待をかけてしまうと、思うような成果が出なかった場合の失望が大きくなりがちです。
AIは「魔法のツール」ではなく、「補助ツール」であるという認識を持つことが重要です。
まずは時短や定型作業の効率化など、目に見える効果が得やすい部分から始めることで、社内の合意形成もしやすくなります。
あらかじめKPI(重要業績評価指標)を設定し、効果検証のサイクルを回すことで、導入後も継続的な改善が可能になります。
🔍 業界用語の解説
- スモールスタート:小規模・限定範囲での試験導入を行うこと。リスクを抑えて効果を検証する手法。
- AIリテラシー:AIツールを正しく理解・活用するための知識とスキル。
- KPI(Key Performance Indicator):目標達成度を測るための定量的な指標。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「AI活用で“月10時間”時短!実際に効果が出た導入事例」についてご紹介しました。
これで、AIをどう活用すれば具体的に業務効率化できるのかという悩みも解決することができます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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